「農協の組合員や職員、地域の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。旧農協会館には何十年も通っていただけに、建物がなくなるのは本当に寂しいですね。」
旧農協会館の開館と同時に1階でオープンした「農協食堂」。親子2代にわたり、本別の庶民の味を守り続けてきた黒津澄子さんは、当時を振り返りながら、時折涙ぐみつつ語ってくれました。

澄子さんが20代で両親の手伝いをしていた時、町の人口は1万4000人もいたそうで、店内は常連客でいつも賑わっていました。塩ラーメン(500円)、しょうゆラーメン(600円)、半豚丼・半ラーメンセット(720円)など、約30種類のメニューはどれも手頃な価格でボリューム満点。亡くなったご主人の篤さん(享年73歳)がラーメンなどの麺類を、澄子さんがご飯ものを担当していました。
通常営業のほか、出前や仕出しにも対応し、年末年始のオードブルの準備には「寝る間を惜しんで頑張りました」と澄子さん。開店当初から昭和50年代まで行われていた3階での結婚披露宴の料理も食堂が担当し、組合員さんの晴れの門出に花を添えました。
職員の中には、家族連れで食堂を利用する人も多く、閉店までの数年間はパートの美恵子さんと3人でお店を切り盛りしてきました。
2019年(令和元年)6月末、篤さんの病気治療を理由に食堂は閉店。澄子さんの「お客さんの『おいしい』の一言が励みでした。お金を払い忘れた帯広のお客さんが、後日手紙にお金を入れて送ってくれたことも、今では良い思い出です」と、笑顔で語ってくれました。

(ほんべつくみあいだより2025年11月号掲載)